「もう何度言ってもダメなんです。母がどうしても介護サービスを使いたがらないんです」
これは、私が地域包括支援センターに相談したとき、スタッフの方に最初に伝えた言葉です。
高齢になった母が家の中で転倒したと聞いたとき、私はすぐにでも介護サービスを使ってほしいと思いました。
でも、返ってくるのは決まってこの言葉——
「私はまだ大丈夫」
「そんなの、年寄り扱いされてるみたいでイヤ」
介護が必要になってきたのに、本人がそれを認めたがらない。
今、同じようなことで悩んでいませんか?
親が介護サービスを拒否するのはなぜ?
親が介護サービスを拒否するとき、「なんでわかってくれないの?」とイライラしたり、悲しくなったりしますよね。
でも実は、親がそう言ってしまうのにはちゃんとした理由があるんです。
まずは、その背景を知ることから始めてみましょう。
1. プライドと自立心の強さ
親世代は
「人に頼るのは恥ずかしい」
「最後まで自分のことは自分でする」
こういう価値観で育ってきた人が多いです。
自分の衰えを認めることは、同時に“老い”を受け入れること。
それが怖いし、悔しいし、何より「情けない」と思ってしまうんです。
2. 介護サービスへの誤解・不信感
「介護サービスってどんな人が来るの?」
「家の中に他人が入るなんてイヤ!」
こうした漠然とした不安も、親が拒否する原因のひとつです。
特に説明不足のまま話を進めると、「騙される」「施設に入れられる」といった誤解を生みやすくなります。
3. 自分の体調を正確に把握できていない
高齢になると、転倒や物忘れが増えても「大したことない」と思ってしまう傾向があります。
そのため、「介護なんてまだ早い」と思い込み、必要性を感じていない人も多いです。
4. 家族との信頼関係や距離感
少し意外かもしれませんが・・・
「自分のことをわかってくれない」
「勝手に決められた」
と感じた時、人は反発します。
家族の中での会話が少なかったり、これまでの関係にすれ違いがあったりすると、「拒否」という形で現れることもあるんです。
説得の前に大切なこと:まず“気持ちを汲み取る”
説得しようとするとき、どうしても「これが正しいから!」「お願いだから!」と自分の気持ちを押し付けがち。
でも、本当に大事なのは「親がなぜそう言っているのか」に耳を傾けることです。
「嫌がってる理由、ちゃんと聞いたことありますか?」
まずは、親の言葉に否定せずに
「うんうん、そう思うんだね」と共感してみてください。
それだけで、親の気持ちは少しずつ柔らかくなります。
親が介護サービスを受け入れてくれるためのステップ
ここからは、私自身の体験とケアマネージャーさんから教わったことをもとに、
「実際に親が介護サービスを受け入れてくれるようになった方法」をご紹介します。
1. “提案”ではなく“相談”スタイルで話す
「ヘルパーさん呼ぼうよ!」と一方的に提案するのではなく、
「どうしたらラクになるかな?何か手伝ってくれる人がいたら、お母さんも安心できると思うんだけど…」と、相談ベースで話すのがポイントです。
2. 第三者の声を借りる
家族の話は聞かないのに、お医者さんやケアマネさんの話はスッと聞く…。
これ、よくあることです。
信頼できる第三者に「〇〇さん、介護サービスを少し取り入れてみるのもいいかもしれませんね」と言ってもらうと、スムーズに受け入れてくれる場合があります。
3. まずは“短時間・お試し”から
いきなり週5回の訪問介護なんて、誰でも抵抗ありますよね。
「試しに週1回、買い物だけ手伝ってもらうのはどう?」くらいの軽いスタートを提案しましょう。
実際に使ってみて「これならアリかも」と感じてもらえれば、継続しやすくなります。
4. 成功事例を見せる
「○○さんのところも、介護サービスを使い始めたらすごく助かってるって言ってたよ」
親と同世代の知人や友人の事例を紹介するのは、心理的なハードルを下げるのに効果的です。
5. 親の“役割”を尊重する
「何もできなくなる」ことが怖い親には、「手伝ってもらって、その分お母さんは○○してくれたら助かるな」と、
役割を残してあげることも大切です。
“誰かの役に立てている”という感覚は、高齢者にとって大きな心の支えになります。
実際に私の母が変わったきっかけ
私の母も、最初は何を言っても拒否の一点張りでした。
でも、ある日転倒して動けなくなったとき、「誰かが来てくれたらよかったなぁ」とポツリ。
そこを逃さず、「じゃあ、今度から週に1回だけ、買い物だけ手伝ってくれる人お願いしてみようか?」と提案したんです。
最初は「1回だけよ!」と言っていた母が、今では「この前来てくれたヘルパーさん、感じよかったわよ」と言うようになりました。
大事なのは、タイミングを見逃さないこと、そして焦らないことですね。
まとめ:親が介護サービスを拒否するときの心構え
介護って、どこか「正解がない」ものです。
一人で抱え込まず、地域のサポートやプロの力もどんどん借りてください。
あなたが「疲れ切る前に助けを求めること」も、とても大切です。
「うちの親、ちょっと頑固でね」
そんな親でも、少しずつ少しずつ変わっていきます。
今日の一歩が、未来の安心につながりますように。
かこ
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