最近、「今日は一日、なにも予定がない」── そんな日が、以前よりうれしく感じられるようになりました。
若い頃は、予定がぎっしり詰まっている手帳を見て「私、ちゃんと生きてる」と思っていたんです。スケジュールが空いていると、どこか不安で。”誰かに必要とされていないのでは?” “何かをサボってる?” そんな気持ちになっていました。
でも、50代になった今。予定のない時間こそが、自分の心と体を回復させてくれる──そう感じています。
最近、「今日は一日、なにも予定がない」── そんな日が、以前よりうれしく感じられるようになりました。
👉 第1弾|片づけが苦手な50代女性へ|心が整う「自分を責めない整理術」
忙しさが当たり前だった日々を振り返って
思い返せば、30代・40代はずっと何かに追われていました。仕事、子育て、家事、人付き合い…… スケジュール帳には、びっしりと予定が並んでいたものです。
その日を乗り切ることに必死で、「今の自分はどう感じているか」なんて、考える余裕すらなかった。平日の朝は6時に起きて家族の朝食を作り、自分の身支度を整えてから仕事へ向かう。帰宅すれば買い物、夕食作り、翌日の準備と、気がつけば夜の10時を過ぎている。
休日も同じでした。溜まった家事を片付け、子どもの習い事の送迎をして、友人との約束をこなす。一日が終わる頃には、「今日も頑張った」という達成感と同時に、どこか満たされない気持ちが残っていました。
疲れていても、誰かとの約束はキャンセルできない。調子が悪くても、家族のごはんは作らなきゃいけない。そんな日々を、当然のようにこなしてきた気がします。
でも今、ふと立ち止まって思うんです。あれ、本当に”私の望んだ暮らし”だったのかな? それとも、”そうしなきゃいけない”と思い込んでいただけだったのかな?
50代で気づいた心と体の変化
50代になってから、身体が疲れやすくなりました。寝てもスッキリしない日があったり、朝から気力が湧かない日があったり。はじめは「年のせいかな」と思っていました。
でも、よくよく考えてみると──心もずっと走りっぱなしだったことに気づいたんです。
やることリストをいつも頭の中でぐるぐる回し、休みの日でも「何かしなきゃ」と落ち着かない。友人との予定も、なんとなく「義務感」で入れてしまう。そんなふうに、自分をずっと追い立てていたら、そりゃあ疲れるのも当たり前ですよね。
更年期という体の変化もあり、今まで以上に無理がきかなくなりました。でもそれは、むしろ「もう少しゆっくり生きてもいいよ」という体からのメッセージだったのかもしれません。
仕事では責任あるポジションを任されることが多くなり、家庭では親の体調が気になり始める。50代の女性を取り巻く環境は決して楽ではありません。だからこそ、自分のペースを大切にすることが、これまで以上に重要になってくるのだと思います。
「予定を詰めない」を実践してみた
あるとき、ふと思ったんです。“何もしない日”を、意識してつくってみようかって。
最初はちょっと不安でした。「何もしない日って、何して過ごすの?」って(笑)。長年、何かに追われる生活をしていると、空白の時間の過ごし方がわからなくなっていたんです。
でも、やってみたら──びっくりするくらい、心がスーッと軽くなったんです。
朝は好きな時間に起きて、お茶を飲みながらぼーっとして、窓の外の景色をただ眺める。部屋の片隅をちょっと片づけたり、読みかけの本を読み進めたり。お気に入りのカフェで一人の時間を楽しんだり、早めにお風呂に入ってゆっくり温まったり。
ただそれだけなのに、「ああ、満たされてる」って感じたんです。
これまで「何もしない」ことを怠けだと思っていましたが、実は違いました。自分の心と向き合う時間、体のサインに気づく時間、本当に大切なものを見極める時間。これらはすべて、忙しい毎日では得られない、とても価値のある時間だったのです。
白紙のカレンダーが教えてくれたこと
以前は、カレンダーに予定がないと不安でした。でも今は、白紙の日があることが、すごくうれしい。それは「何もない」じゃなくて、「自分のための時間がある」という安心感なんです。
もちろん、毎日がそうではありません。仕事や用事が立て込む週もあります。でも、「空白をつくる」という意識があるだけで、心の余裕がまったく違ってきました。
新しいスケジュールの立て方を覚えました。まず必須の予定を入れて、次に意識的に余白の日を作る。そして急な予定にも対応できる余地を残しておく。「何もしない時間」も立派な予定として、自分の手帳に書き込むようになりました。
50代になると、多くの方が「断る勇気」の重要性に気づくのではないでしょうか。本当に参加したい集まりかどうか見極めて、義務感だけで参加していた集まりは思い切って見直す。自分のエネルギーを大切にする選択をする。「忙しいから」ではなく「自分を大切にしたいから」と理由を変えてみる。そんな小さな変化が、暮らし全体を軽やかにしてくれます。
自分らしいリズムを見つける
50代は、暮らしも体調も、少しずつ変化していく時期。だからこそ、自分にとっての「ちょうどいいリズム」を見つけることが大切だなと思います。
私の場合、午前中はゆったり始めたいタイプです。慌ただしく動き始めるのではなく、心を整える時間を作ってから一日をスタートさせます。午後は買い物や用事をまとめてすませて、夜はスマホを見ずに早めに寝る。
そんなふうに、「今の自分に合う過ごし方」を整えていくことが、暮らし全体のリズムを整えてくれる気がします。
働き続けている方は仕事とプライベートのバランスを、子育てが一段落した方は新しい自分時間の使い方を、介護が始まった方は限られた時間の中での自分ケアを、パートナーとの時間を大切にしたい方は二人の時間の質を高めることを。それぞれの状況に応じて、「ちょうどいいリズム」は変わってきます。
季節の変化も、より深く感じられるようになりました。春には新しいことを始める前にまず自分の状態を整え、夏のエネルギッシュな季節も休息を忘れずに過ごす。秋には収穫の季節にこれまでの自分を振り返り、冬は静かに内省して来年への準備をする。自然のリズムと自分のリズムが調和していく心地よさを感じています。
「忙しさ依存」から抜け出して
もしかしたら、私はずっと”忙しさ”で「空虚さ」をごまかしていたのかもしれません。予定があることで、自分の価値を測っていた。誰かと一緒にいることで、「私は独りじゃない」と思いたかった。
でも今は違います。静かな時間こそが、私を元気にしてくれる。 空白こそが、私の本音と出会える場所。 そう思えるようになりました。
真の充実感は、量ではなく質から生まれるものだと気づいたのです。たくさんの予定をこなすことよりも、一つ一つの時間を丁寧に過ごすことの方が、心からの満足感をもたらしてくれます。
現代社会では、「忙しい人=価値のある人」という思い込みがあります。しかし、50代になったからこそ、その神話から解放される時期なのかもしれません。忙しさを自慢する文化から離れ、「何もしない時間」への罪悪感を手放し、自分らしいペースでの生活を肯定する。質の高い時間への価値観へと転換していく。
この変化は、人間関係にも良い影響をもたらしました。表面的な付き合いよりも本当に大切な人との時間を重視するようになり、義務感ではなく本当に会いたい人と会うようになりました。相手の話をじっくり聞ける心の余裕が生まれ、自分に余裕があるからこそ他者にも優しくできるようになりました。
今のあなたに問いかけたいこと
これを読んでくださっているあなたも、もしかしたら、毎日忙しく動いているのかもしれません。そんなあなたに、そっと問いかけたいのです。
「本当にその予定、今のあなたに必要ですか?」 「それは、あなたが望んでいることですか?」
最後に「何もしない日」を過ごしたのはいつでしょうか。予定のない日に不安を感じることはありませんか。友人との約束を義務感で入れることがありませんか。疲れていても予定をこなしてしまっていませんか。自分の本当の気持ちを考える時間はありますか。
一つひとつの予定を、やさしく見直してみる。勇気を出して、空白の一日をつくってみる。きっとそこに、新しい「整った暮らし」の入り口があると思います。
今日からできる小さな変化があります。今週末、2時間だけ予定を入れない時間を作ってみる。義務感で参加している集まりを一つ見直してみる。「疲れている」という自分の声に耳を傾けてみる。スマホを見ない時間を意識的に作ってみる。
自分のエネルギーを大切にする選択をする。
👉 誰かのためじゃなく、自分のために|無理しない毎日のつくり方
時間に追われない暮らしを始めると
時間に追われない暮らしを始めると、周囲から理解されないこともあるかもしれません。「最近、誘っても忙しいって言うよね」「何もしてないなんて、もったいない」「もっと積極的に活動した方がいいんじゃない?」そんな声が聞こえてくることもあるでしょう。
そんな時は、「今は自分のペースで生活したい時期なんです」「質の高い時間を大切にしたくて」「体調を整えることを優先しています」と、やさしく説明してみてください。
一方で、時間に追われない暮らしを理解してくれる人たちとの新しいつながりも生まれるでしょう。同じような価値観を持つ友人、ゆったりとした時間を共有できる仲間、お互いの時間を尊重し合える関係、深い話ができる信頼関係。質の高い人間関係が育まれていきます。
そんな夜、間接照明のかわりに灯す
キャンドルウォーマーランプがあると、空間がほんのり温かくなります。
香りとやわらかな光に包まれると、不思議と心までゆるんでいくようで。
「自分のためだけの時間」って、こういうことかもしれないなって思うのです。
おわりに
予定があることも、誰かと過ごす時間も、もちろん大切。でも、“詰めない日”があることは、それ以上に心の豊かさを育ててくれると感じています。
50代は、”足す暮らし”から”引く暮らし”へ──ほんの少しずつでも、暮らしの余白を取り戻していけたらいいですね。
50代だからこその自由があります。社会の期待よりも自分の気持ちを優先する自由、完璧でなくても自分らしくいる自由、ゆっくりでも自分のペースで歩む自由、「NO」と言える自由。時間に追われない暮らしは、決して怠けることではありません。あなたらしい人生を取り戻すための、積極的で勇気ある選択なのです。
あなたの今日が、静かで、やさしく、整っている一日でありますように。そして、あなたの明日が、もっと自分らしく、もっと心地よい一日でありますように。
🌸 今日の“ゆったり時間”に使いたい癒しアイテム
- キャンドルウォーマーランプ|やわらかな灯りと香りで、静かな夜をもっと心地よく
- フットマッサージャー(ふくらはぎ用)|1日の終わりに、足からほぐして深くリラックス
- 電動ヘッドスパマシン|頭皮をほぐして、心までゆるむ癒しのひとときに
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