アラフィフになった今、わたしは孤独を感じることが多くなりました。
もちろん、家族がいて、愛犬もいて、友達もいるし、日々の生活は忙しいものです。
それでも、忙しい日常の中でふと感じる『孤独』。
まるで誰かに見放されたような、心の中にぽっかりと空いた隙間に気づいた瞬間。
この孤独の感情は、若い頃にはなかなか意識してなかった感情です。
年齢を重ねるうちに、その感情がじわじわと心に浸透してきたのを感じとるようになってきたように思えます。今では、その孤独をどう受け入れるか、どう向き合うかが、わたしの人生の重要なテーマの一つになっています。
今回は、わたしが孤独を感じた瞬間やその時にどう向き合ったか、そしてそれがどんな変化をもたらしたかをお話ししたいと思います。
少しでも共感してもらえたら嬉しいです。
孤独を感じる瞬間とは?
孤独とは、必ずしも一人でいることを意味するわけではありません。周りに人がいても、心が何となく空虚に感じたり、ひとりぼっちのように思えてしまう瞬間があることに、わたしたちは気づいていないかもしれません。それは、ふとした瞬間に訪れることが多いのです。
例えば、毎日同じように忙しく過ごし、仕事が終わって家に帰ると、誰とも心から話すことなく一日が終わってしまった瞬間。どこか心に空虚さが残り、「今日も誰とも深く向き合っていないな」と感じることが増えました。また、長年一緒にいた人との関係が変わったとき、少しずつ孤独が心に忍び寄ることもあります。
孤独は、必ずしも一人で過ごす時間から来るものではなく、むしろ人とのつながりが薄くなったり、身近な人との距離を感じたときに、ふと気づくことが多いのです。それは、「何かが足りない」「心が満たされていない」と感じるとき、時にはその正体を言葉にできないまま心に沈むことがあります。
わたしたちが日々の生活の中で感じる「孤独」は、時には強烈で、時には静かに忍び寄ります。その瞬間にどう向き合うかが、わたしたちの心のあり方に大きな影響を与えるのです。だからこそ、孤独を感じるその瞬間に、自分を見つめ直すことが大切なのかもしれません。
子どもが巣立ったとき
わたしが最も強く孤独を感じた瞬間は、子どもが就職して家を出たときでした。
その日、娘を駅まで送った帰り道、家に戻ると、リビングのソファが空っぽで、テーブルには使われていない食器がそのまま置いてありました。娘が座ることのなかったその場所が、まるでわたしに『誰かがいないこと』を知らせているようでした。これまでは、リビングにいると、娘がゲームをしている音や、笑い声、ふと何気ないことを話しかけてくる瞬間、晩ご飯を一緒に食べる時間が当たり前のようにあったのに、それが突然消えてしまったのです。
わたしたち母親は、子どもが小さい頃からずっと「子どものため」に動き続けています。そのことが当たり前で、何かをしていることで日々が充実していると思い込んでいました。
でも、子どもが巣立ったことで、今まで支えられていたものがなくなったような気がして、急に空虚な気持ちが湧いてきたのです。
ある夜、家に帰ると、あまりの静けさに違和感を覚えました。冷蔵庫には余った食材が眠り、テーブルの上には使われなくなったノートがそのまま置いてあります。それまで、娘がそこに座っているのが当たり前だったのに、今は娘はいない。それが一気に「わたしは何をしているんだろう?」という不安と共に心に広がりました。
ママ友との関係の変化
子どもが中学校を卒業して、親子ともに学校との関わりが少なくなった時期です。
それまでは、毎日の送り迎えや学校行事に参加する中で、自然とできた「ママ友」たちとの関係がありました。学校の運動会や文化祭、子どもたちがクラブ活動で忙しくしている間、他のママたちと話すことが楽しみでした。そんな日々が続く中で、わたしはその関係が当然のように続くものだと思っていたのです。
しかし、子どもたちが成長し、学校行事にも参加しなくなり、わたしの生活は徐々に「空っぽ」に感じるようになりました。ママ友たちとの付き合いも、何となく疎遠になっていったのです。わたし自身も、子どもたちが小学校を卒業し、受験などで忙しくなると、突然「自分の時間」ができました。しかし、その「自分の時間」が最初は不安で、孤独感が押し寄せてきました。
子どもたちの成長とともに、「ママ友」と呼ばれる存在も少なくなり、何となく「自分がもう必要とされていないのでは?」という気持ちに支配されました。小学校の頃は、親同士もよく集まり、ランチをしたり、子どもの進路について語り合ったりしていたのに、それが急に止まってしまうと、何か自分の存在が薄れていくような感覚がありました。
近所付き合いの変化
また、わたしの住んでいる地域でも、だんだんと近所付き合いが薄くなってきました。
昔は、子どもたちが遊んでいた公園で他の親たちと顔を合わせることが多く、地域の行事にも参加する機会がありました。しかし、最近では、わたしが仕事をしていることであったり、地域のイベントや活動も減り、近所の人たちとの交流が少なくなりました。顔を合わせる機会が減ると、少しずつ顔見知りの関係が薄れていき、なんとなく「このままでは、わたしは孤立していくのでは?」という不安が心に広がります。
特に、近所で長年顔を合わせていた人たちの中には、子どもが大きくなり、他の地域に引っ越してしまったり、仕事が忙しくて顔を合わせる機会が減ったりすることが増えました。わたしも忙しくなり、近所のイベントには参加しなくなっていきました。その結果、気づけば、以前は毎週会っていた近所の友達とも会わなくなり、気軽に話せる相手がいなくなってしまったのです。

孤独をどう向き合うか?
孤独を感じることは、人それぞれ異なるものです。しかし、孤独に対する向き合い方は、誰にでも必要なテーマかもしれません。
わたしたちは、日々の生活に忙殺されながらも、時にひとりでいることや、心の中で感じる孤独と向き合わなければならない瞬間に出会います。そんな時、孤独をどう受け入れ、どう向き合うかが、わたしたちの心の健康に大きな影響を与えます。
最初、孤独を感じると、それが苦しくてたまりませんでした。毎週会っていた友達と久しぶりに会うために誘ってみたり、新しい趣味を見つけようと必死になったこともありました。でも、どれも一時的な解決に過ぎず、帰宅するとまた同じ空虚感が胸に残る。
孤独を無理に埋めようとすることが逆に自分を疲れさせていると感じた時、わたしは『ひとりの時間』を大切にすることを決めました。その時間を、自分を見つめる時間にしようと心に決めたのです。
孤独をただ避けるだけでは、その感情が長引くことがあります。むしろ、孤独とどう向き合うか、どう自分自身をその中で見つめるかを考えることが、心を癒し、成長へと繋がることもあるのです。
孤独は恐れるべきものではなく、自分を深く知るための大切な時間を与えてくれるものです。だからこそ、その孤独とどう向き合うかを考えることが、人生をより豊かにする鍵となるのかもしれません。
孤独を感じて無理に逃げようとした日々
最初、わたしはその孤独をどうしても受け入れたくありませんでした。
孤独を感じるたびに、それを何とかしようと必死。
友達を誘って食事に行ったり、新しい趣味を見つけようとしたりして、忙しさで孤独感を埋めようとしていた時期があります。しかし、どれも一時的な解決に過ぎませんでした。
例えば、友達と頻繁に会うことで一時的に孤独を紛らわせたものの、家に帰るとやはり静かな部屋にひとり。それが何とも物足りなく感じました。まるで、「誰かといることで孤独を感じないようにしなければならない」と思い込んでいたのです。
でも、そんな状態が続くうちに、あることに気づきました。
「無理に孤独を埋めようとするのは、逆に自分を苦しめるだけだ」と。
そこで、わたしは思い切って自分と向き合わせる時間を作ることにしました。まず始めたのは、ひとりでカフェに行くことです。今までだったら、友達を誘って一緒に行くことが多かったけれど、その日はあえてひとりでカフェに足を運びました。
ひとり旅の挑戦
それでも孤独感が消えるわけではなく、むしろ最初は「ひとりで過ごすなんて寂しいな」と感じたこともありました。しかし、だんだんとその時間が心地よくなってきたのです。カフェで本を読む時間も、自分のペースでゆっくりと過ごす時間も、最初は不安でしたが、だんだんとそれが贅沢な時間だと感じられるようになりました。
ひとり旅を決めたとき、最初は『誰かと行けばもっと楽しいだろう』と思っていたものの、思い切ってひとり旅に出ました。その不安な気持ちを乗り越えて、知らない街で一人歩くうちに、次第にその静けさと自由が心地よくなり、何も考えずにただ自分のペースで過ごせる贅沢さに気づきました。知らない場所で、誰とも話さずに過ごす時間。最初は不安でしたが、その時間がだんだんと心地よくなり、「自分と向き合う」ことがこんなに贅沢な時間だとは思いませんでした。
未知の場所で、誰とも話さずに過ごす時間はとても新鮮で、予想以上に心が軽くなりました。自分のペースで歩き、何も気にせず過ごすことが、こんなにも自由で贅沢だとは思いませんでした。
ひとり旅を通じて、孤独が怖いものではなく、自分を深く知るための大切な時間だということに気づくことができました。この経験を通じて、孤独に対する考え方が大きく変わったのです。
孤独を感じることの価値
孤独は、確かに最初は怖いものです。しかし、孤独を受け入れることで、それが成長のチャンスになることに気づきました。孤独を感じることは、他人と一緒にいることで得られない、自分との対話の時間を与えてくれます。
孤独を感じた時、私は自分が本当にやりたかったことに気づくことができました。例えば、ずっとやりたかった料理教室に通い始めたり、趣味の読書に没頭したりすることができました。これまで忙しさにかまけて見逃していた自分の興味に気づき、それを積極的に追求するようになったのです。
また、孤独を感じたことで、他者とのつながりの大切さにも改めて気づくことができました。友達と会う時間を大切にしたり、家族とのコミュニケーションを見直すことで、もっと豊かな人間関係を築くことができました。孤独が教えてくれたのは、「まず自分を大切にすることが、他者を大切にすることにもつながる」ということです。
おわりに
孤独を感じることは、どんなに素晴らしい人間関係を持っていても避けられないことです。
しかし、それをどう受け入れ、どう向き合うかが、わたしたちの人生をより豊かにしてくれるのです。孤独を恐れず、それをポジティブに活かすことで、自分を知り、成長するチャンスを得ることができます。
今では、孤独を感じるたびに「これは自分を知るための時間だ」と捉えています。そして、孤独を味方につけて、自分らしい人生を大切にしていこうと思っています。
これからも、孤独を恐れず、むしろその時間を大切にしていきたいと思います。孤独は、ただの孤立ではなく、自分を深く知るための大切なチャンスです。この経験を糧に、これからも孤独を恐れず、むしろその時間を大切にして、もっと自分らしく、豊かな人生を歩んでいきたいと思います。
これからも、自分自身と向き合いながら、成長し続ける人生を・・・。
かこ

