50代で出会った、小さな命の魅力
50代に入ってから、ふとしたときに気づいたことがあります。
——私、いつも「誰かのため」に動いてきたなぁ、と。
家族のこと、仕事のこと、親の体調のこと。日々に追われているうちに、自分の“楽しみ”とか“癒し”はずっと後回しになっていました。
そんなある日、近所のホームセンターでふらっと立ち寄ったアクアリウムコーナー。そこに、小さなボウルの中でスイスイ泳ぐメダカたちがいたんです。
ちいさな身体で、でも一生懸命に泳いでいる姿。見ているだけで、なんだか心がふっとゆるむのを感じました。
「この子たち、家に迎えたら、どんな気持ちになるんだろう」
その日、私は小さなビオトープセットと3匹のメダカを抱えて帰宅していました。
——50代からのメダカ飼育。
それは、「自分のためだけの時間」を取り戻す、思いがけない第一歩だったのです。
👉 孤独と向き合う気持ちを綴った記事もよければどうぞ: アラフィフで感じた孤独と向き合う方法|年齢と共に変化する気持ち
癒しのつもりが、けっこう手がかかる?それでもやめられない理由
最初は“見るだけで癒される”と思っていたメダカたち。
たしかに、静かに泳ぐ姿には心がなごみます。テレビを消して、水面を眺めているだけで、すーっと気持ちが落ち着く。まさに自然のセラピー。
でも、飼い始めてすぐに気づいたのです。
「……あれ?意外と、手がかかるぞ?」
水質の管理、水換え、餌やり。日々の世話は小さなことですが、気を抜くとメダカたちの体調にすぐに表れるんです。
しかも季節によっても、やることは変わります。夏の水温、冬の越冬準備。
「放っておいても育つ魚」なんて思っていたら大間違いでした。
それでも。
その手間さえ、どこか愛おしい。
たった5分の餌やりなのに、朝メダカに話しかける時間ができて。
水草の隙間からひょこっと顔を出してくれる瞬間に、ふっと笑顔になって。
——誰にも必要とされていない気がしていた日々に、「待っていてくれる存在」がいること。
それがどれだけ心を支えてくれたか、計り知れません。
年齢を重ねるごとに、派手な楽しみよりも、静かで穏やかな時間が心にしみるようになりました。
何もしないで、ただぼんやりと過ごす時間が「いい時間だったな」と思える日が増えたのです。
👉 人生は暇つぶしでいい──50代で気づいた“何もしない”を楽しむ暮らし方
そんな気持ちを大切にしたくて、私は小さなメダカとの暮らしを始めました。
初心者でも大丈夫。私が揃えた最初の飼育グッズ
メダカ飼育を始めると決めたものの、私は完全なる初心者。
「水槽ってどれがいいの?」「餌はどうするの?」「フィルターは必要?」と、わからないことだらけでした。
調べてみると、室内で本格的に水槽を立ち上げる方法もあれば、ベランダや庭先で“ビオトープ”として育てる方法もあることがわかりました。私は気軽に始めたかったので、まずは小さな発泡スチロール製の容器と、メダカ3匹、そして水草2種でスタートしました。
最初に揃えたもの
- 容器:10〜15リットルほどの黒い発泡スチロール箱(保温性もあり便利)
- 水草:ホテイアオイとアナカリス(メダカの隠れ家&酸素供給)
- カルキ抜き剤:水道水を安全な飼育水にするための必須アイテム
- メダカの餌:粒の細かいメダカ専用フード
- 日除けネット(夏用):直射日光を避けるために100均のすだれも活用
小さな容器から始めた私のメダカ飼育も、気づけば少しずつアイテムが増えてきました。
とはいえ、あれこれ悩むよりも、最初から“必要なものがセットになっている”アイテムがひとつあると安心なんですよね。
特にこちらは、音も静かで場所をとらないから、室内でメダカを楽しみたい人にぴったりです。
デザインもすっきりしていて、見た目も気分も心地よく。
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「気になってるけど、何からそろえたらいいかわからない…」という方には、まずこれひとつあると心強いと思います。
必要最低限のグッズでも、工夫次第でメダカは元気に育ちます。私も最初は「うまくいくか不安…」とビクビクしていましたが、“飼いながら覚える”で十分でした。
季節ごとのお世話と、ちょっとしたコツ(春夏秋冬)
メダカ飼育が「楽しい」と思えるようになってきた頃、私は**“季節によって変化するメダカの表情”**に気づきました。春の活発な動き、夏の産卵、秋の落ち着き、そして冬の静けさ。
自然とともに暮らす感覚が、どこか昔の暮らしを思い出させてくれるのです。
🌸 春(3〜5月):動き出す季節
冬眠から目覚め、メダカが元気に泳ぎ始める季節です。水換えを始め、1/3ずつの交換からスタート。水温が安定する日中に作業を行うのがコツ。
✅ しておきたいこと:
- 水草の植え替え・トリミング
- 餌やりの再開(少量から)
- 日光浴の時間を増やす
☀ 夏(6〜8月):産卵と高温対策の季節
メダカが一番活発になる時期。産卵も盛んで、水草の間に卵を見つけたときの感動はひとしおです。ただし、真夏は水温が35度近くになると命に関わるため注意が必要です。
✅ 工夫してよかったこと:
- すだれや遮光ネットで直射日光を防ぐ
- 水面が蒸発しやすいのでこまめな足し水を
- 卵は別容器で育てると生存率UP
稚魚が生まれたとき、最初はとにかく嬉しくて。
でも、何もしないで放っておくと、親メダカが食べてしまったり、水流に弱くてうまく育たなかったり……ということもありました。
「少しでも命を守りたい」と思って、私が使ってみたのがこちらの産卵&育成用ケースです。
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コンパクトで扱いやすく、水換えもラクで初心者にもやさしい設計。
メダカの卵や稚魚をそっと守ってあげたいとき、ひとつあると本当に安心です。
🍂 秋(9〜11月):落ち着きと冬支度
産卵も落ち着き、メダカの動きがゆるやかに。エサの量を徐々に減らして冬眠の準備をします。気温が下がり始めるので、水温の確認を忘れずに。
✅ おすすめ作業:
- 水草を減らす or 冬用の浮き草にチェンジ
- 外容器の保温対策(風よけ)
- 落ち葉や枯れ葉の掃除
❄ 冬(12〜2月):静かに見守る季節
水温が10℃を下回ると、メダカはほとんど動かなくなります。無理に触らず、じっとそっと見守るのが大切な時期です。
✅ 私がやってよかったこと:
- 室外飼育は“凍らせない”ことが最優先
- 室内に移動させる場合は温度差に注意
- 給餌は控えめに(月1回程度)
寒くなってくると、メダカたちの動きもだんだんゆっくりに。
外で飼っていた頃は「冬はそっと見守ろう」と思っていたけれど、室内に移動してからは“水温管理”がとても大事になりました。
私が使っているのが、こちらのコンパクトで静かなミニヒーター。
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水温を一定に保ってくれるから、寒い日でも安心して見守れるようになりました。
手間を減らして、メダカとの時間をもっと楽しみたい方におすすめです。
増える命、別れの時──メダカと過ごした2年のリアル
飼い始めて数ヶ月が過ぎたころ、小さな水草の陰に、ポツンと透明な卵がついているのを見つけました。
「……もしかして、産卵?」
嬉しくなって、慌てて調べながら、卵を別の容器に移し、日々観察。数日後、小さな稚魚が水面を泳いだ瞬間の感動は、今でもはっきりと覚えています。
——こんな小さな命が、うちで生まれたんだ……。
それからはもう、“沼”でした。
繁殖に挑戦し、卵を育て、稚魚が少しずつ大きくなる過程を見守る日々。名前をつけることはありませんでしたが、それぞれに愛着がわき、まるで家族のような存在になっていきました。
でも、当然ながら“別れ”もあります。
ある日、1匹が水面に浮かんでいたときは、本当に胸が痛くて、思わず涙がこぼれました。
「たかが魚」と言われればそれまでかもしれません。だけど、毎日見て、話しかけて、癒されてきた命との別れは、それだけで“喪失”なのです。
老衰、病気、夏の水温上昇……いくつもの命と向き合いながら、私は少しずつ、“命を見送ること”に慣れていく自分を感じました。
それは、年齢とともに親の老いに触れたり、大切な人との別れが増えていく50代の私にとって、ある種の“予行演習”だったのかもしれません。
暮らしの中に癒しをくれたメダカたち
メダカを飼うことで、私の暮らしは確実に変わりました。
たとえば、朝起きて最初にカーテンを開けて水鉢を覗き込む習慣。
日中、ちょっと疲れたときに、ベランダに出て水面を眺める数分間。
週末に水換えをしながら、静かに音楽を流す時間。
そのどれもが、私にとって「自分に戻る時間」になっていたのです。
派手なイベントも、SNSに載せるようなキラキラした日々もないけれど。
メダカたちの静かな存在感は、まるで「それでいいんだよ」と言ってくれているようで、
がんばりすぎて空回りしていた私の心を、少しずつ整えてくれました。
とくに印象に残っているのは、50代に入って感じた“孤独”と向き合うきっかけになったこと。
人付き合いが変わり、子どもが巣立ち、家にいる時間が増えてきたとき。
そのぽっかり空いた空間に、「命の気配」があることが、どれだけ救いになったか。
「ただ生きている」その姿に、私も“いまここに生きている”と感じさせてもらったような、そんな感覚がありました。
これから始めるあなたへ。ゆるく続けるメダカ飼育のすすめ
「メダカって、手がかかるんでしょう?」「難しそうで、自分には無理かも」
そんなふうに思っていた私でも、気づけば2年も続いています。
たしかに、水換えや季節の対策など、やることはあります。けれど、それがかえって“暮らしのリズム”を整えてくれる存在になりました。
私は「完璧にやらなきゃ」と思いすぎると疲れてしまうタイプなので、あえて**“ゆるく飼う”スタイル**を選んでいます。
✅ ゆるく続けるコツ
- 無理せず「見守る」姿勢を大切に
- 少数飼育+小さな容器でOK(管理がラク)
- トラブルが起きても「次はこうしてみよう」と試す楽しさ
- 季節ごとに風景が変わるのを、ただ見て楽しむ
そして何より、「今日も元気に泳いでくれてる」だけで、もう十分。
「これからの人生、何か趣味を持ちたいな」
「毎日の生活に、ちょっとした癒しがほしい」
そんな気持ちが少しでもあるなら、メダカはとてもいい選択肢だと思います。
——植物のようで、でもちゃんと命のぬくもりがある。
——ペットのようで、でも距離感がちょうどいい。
「がんばらない」「でも、大切にする」
そんな関係性が、50代の私にはぴったりでした。
私は器用でもないし、飽きっぽいところもあります。そんな私でも、2年もメダカを育ててこられたのは、“自分のペースでできる趣味”だったから。
👉 50代、暮らしを整えるという選択|心と部屋がつながる感覚
よく聞かれるメダカ飼育の疑問に、私なりに答えてみます
私の周りでも「メダカ飼ってるんだ」と話すと、意外と興味をもってくれる人が多くて、よくこんなことを聞かれます。
ここでは、初心者だった私が実際に感じた“リアルな答え”をお伝えしてみますね。
Q. メダカって毎日世話が必要なの?
▶ 毎日の“がっつり世話”は必要ありません。
朝、軽く餌をあげて、元気に泳いでるかを見るだけでも十分。
ただ、週に一度は水の様子を見る/月に一度は水換えを軽くする、という「緩やかな習慣」はできるようになります。
Q. 旅行のときはどうしたの?
▶ 私は2〜3泊なら何もせずに出かけてしまいます(笑)
メダカは大人になれば2〜3日は絶食でも大丈夫。
長期旅行の場合は、自動給餌器や友人にお願いすることもありますが、“無理せずやる”が基本でした。
Q. 稚魚って、どう育てるの?
▶ 卵を見つけたら、すぐ別容器に。
水温と餌のタイミングさえ整えれば、意外と元気に育ってくれます。
ただし、「全部育てようとしない勇気」も大事。無理に増やしすぎると、管理が大変になります。
Q. 死んじゃったら、どうしてた?
▶ ちゃんと埋めてあげて、「ありがとうね」と声をかけました。
悲しいけれど、その命に触れたことで自分の心の反応にも気づけたと思っています。
別れは辛いけれど、それを含めて“癒しの深さ”だったんだと、今では感じています。
メダカ飼育に“向いていた”と感じた私の性格
私は器用なタイプでもないし、飽きっぽいところもあります。
でもメダカは、そんな私でも「長く続けられた趣味」でした。
たぶん、こんな人には向いていると思います:
1人の時間を大切にしたい人
誰にも気を使わず、静かな“心の余白”を持ちたい人にぴったり。
ペットは飼いたいけど、責任の重さが不安な人
犬猫ほど手間や制約がないけれど、ちゃんと「命と向き合える」相手です。
自分のペースでやりたい人
毎日同じことをしなくても、少しずつ整えていける。それがメダカの良さです。
自然や季節を感じる暮らしをしたい人
季節とともに容器の中の風景が変わり、“小さな自然”を感じられます。
逆に、「華やかさ」「派手な変化」を求める人にはちょっと地味かもしれません。
でも私は、この静けさが、自分の年齢や気持ちにちょうどよかったんです。
おわりに:メダカと一緒に「自分を大切にする時間」が増えた
メダカを飼い始めてから、私は少しだけ、自分にやさしくなれた気がします。
家族のため、誰かの期待に応えるために生きてきた時間の中で、
「これは、私のための癒し」と胸を張って言えるものを持てたこと。
それは、年齢を重ねた今だからこそ、心にしみる喜びでした。
メダカたちは、何も語らず、ただ泳いでいるだけ。
だけど、その姿は時に励ましであり、慰めであり、静かな寄り添いでした。
忙しさに疲れてしまった日も、孤独を感じた夜も、
静かな水面をのぞき込むたびに、「ああ、今日も悪くなかったな」と思える。
それが、メダカのくれた一番のギフトかもしれません。
🛍 メダカとの暮らしに役立ったアイテムまとめ
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