物を持たない暮らしを選んだ私の、ひとつの矛盾
50代になって、ようやく「自分らしい暮らし」というものが見えてきました。
子育てに追われていた頃は、家の中が物であふれていました。子どもの服、おもちゃ、学用品、思い出の品々。「いつか使うかも」「もったいない」という気持ちで、捨てることができずにいました。
でも子どもたちが巣立ち、夫との時間も落ち着いた今、ふと気づいたのです。「私は一体、何のためにこんなにたくさんの物に囲まれて生きているんだろう」と。
そこから始まったのが、物を手放す暮らしでした。使わない食器、着ない服、読み返さない本。一つひとつと向き合いながら、本当に必要なものだけを残していく。その過程で感じたのは、物が減るほどに心が軽やかになっていく不思議な感覚でした。
部屋がすっきりすると、掃除が楽になる。探し物が減る。なにより、「あれもこれも」と考えることが減って、頭の中までクリアになったような気がしました。
でも、そんな私にも一つの迷いがありました。それが「防災への備え」でした。
災害を前にした時、感じた自分の無力さ
数年前の大きな地震の夜、私は自分の選択に確信が持てなくなりました。
停電で真っ暗になった部屋で、手探りで懐中電灯を探しながら思ったのです。「物を減らすことばかり考えて、本当に大切なことを見落としていたんじゃないか」と。
幸い我が家は大きな被害はありませんでしたが、水道が数日止まり、スーパーの棚は空になりました。普段から「必要最小限しか持たない」ことを心がけていた私は、その時初めて、「備えがない」ことの心細さを知ったのです。
特に印象的だったのは、近所の方との違いでした。いつも「うちは物が多すぎて」と笑っていらした隣のおばさんが、懐中電灯やカセットコンロ、非常食をさっと用意して、私たちにも分けてくださったのです。
「普段は邪魔だと思ってたけど、こういう時に役に立つのね」
その言葉を聞いた時、私は深く考え込みました。ミニマリストを目指すあまり、大切なことまで削ぎ落としてしまっていたのではないか、と。
「必要最小限」の意味を、改めて考え直した
災害の後、私は自分なりに「ミニマリスト」について考え直しました。
物を減らすことが目的ではない。大切なのは「本当に必要なものを見極める力」を身につけることなのだと。そして、防災への備えは、間違いなく「本当に必要なもの」に含まれるのだと。
50代になって気づいたことがあります。若い頃は「なんとかなる」と思えていたことが、今はそう簡単には思えなくなったということです。体力も落ちているし、回復力も昔ほどではありません。何より、この年齢になると「家族を守らなければ」という責任をより強く感じるようになりました。
夫が出張で家にいない夜、もし災害が起きたらどうしよう。離れて暮らす子どもたちは大丈夫だろうか。高齢になった両親のことも心配です。
そんな不安を抱えながら、私は改めて「備え」について考えるようになりました。それは単に物を準備することではなく、**「家族と自分を守るための、心の準備」**なのだと。
備えることで得られる、本当の安心
防災グッズを少しずつ揃えていく中で、私は大きな発見をしました。それは、「備えがあることで生まれる心の余裕」でした。
台風の接近が予報された夜、以前なら「大丈夫かしら」とそわそわしていた私が、「とりあえず今夜は安心」と思えるようになったのです。水も食料もライトもある。スマホの充電もできる。それだけで、随分と気持ちが楽になりました。
この「安心感」こそが、私が備えを続ける一番の理由です。
災害は待ってくれません。「今度揃えよう」「そのうち準備しよう」と思っているうちに、その時が来てしまうかもしれません。でも、最低限の備えがあるだけで、「今日何かあっても大丈夫」と思える。この気持ちの変化は、想像以上に大きなものでした。
停電時にも落ち着いて過ごせたのは、ライト・ラジオ・モバイルバッテリーが一体になったグッズを用意していたから。
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50代だからこそ、賢い備えを
私たちの世代には、若い人にはない強みがあります。それは「経験」と「判断力」です。
何が本当に必要で、何が不要なのか。限られた予算の中で、何を優先すべきなのか。長年の生活経験があるからこそ、効率的で無駄のない備えができるはずです。
たとえば、食料の備蓄一つとっても、家族の好みや体質を考慮して選ぶことができます。普段から胃腸が弱い夫のためには消化の良いおかゆを、甘いものが好きな私のためには栄養補助食品を。こういった細やかな配慮ができるのも、長年一緒に暮らしてきたからこそです。
また、収納についても工夫ができます。どこに何をしまえば取り出しやすいか、どのくらいの量なら管理しきれるか。これまでの家事経験が、防災の備えにも活かされるのです。
物を選ぶ目が、備えの質を決める
ミニマリストを目指す過程で身についた「物を選ぶ目」は、防災グッズ選びでも大いに役立ちました。
安いからといって機能の劣るものを買うのではなく、少し高くても長く使える良いものを選ぶ。一つで複数の役割を果たすアイテムを優先する。本当に使いこなせるものだけを厳選する。
こういった視点で防災グッズを選んでいくと、最終的にはそれほど多くの物を持たなくても、十分な備えができることがわかりました。
たとえば、ライトとラジオとモバイルバッテリーが一体になった製品を選べば、3つの機能を1つのアイテムで賄えます。カセットコンロも、アウトドアで使える高品質なものを選べば、防災用品でありながら日常のちょっとした料理にも活用できます。
「量より質」を重視する考え方は、防災でも通用するのです。
備えることで、未来への不安が和らいだ
防災の準備を進めていくうちに、私の中で大きく変わったことがあります。それは「未来への不安」との付き合い方でした。
以前は、「もし災害が起きたら」「もし家族に何かあったら」と考えるだけで不安になっていました。でも今は、「その時はこうしよう」と具体的に想像できるようになったのです。
水と食料はここにある。明かりはここ。家族との連絡方法はこれ。避難する時はこのルートで。そんな風に「その時の行動」が明確になると、漠然とした不安が、具体的な安心に変わっていきました。
これは、50代という年齢だからこそ感じられる変化かもしれません。若い頃なら「考えすぎ」で済ませていたかもしれない不安を、今は現実的な問題として受け止め、対策を立てることができる。この「現実と向き合う力」も、歳を重ねたからこその財産だと思います。
ローリングストック法で、罪悪感なく備蓄を続ける
ミニマリストとして一番気になるのは、「せっかく買った防災用品を使わずに期限切れで捨てることになったらどうしよう」という罪悪感でした。
でも、日常生活の中で少しずつ使いながら補充していく「ローリングストック法」を取り入れてからは、その心配がなくなりました。
非常食として買ったカップ麺を、忙しい日の昼食に使う。缶詰を、もう一品欲しい時の常備菜に活用する。ミネラルウォーターを、普段の飲み物として消費する。
こうして日常の中に防災用品を組み込んでいくと、「防災のためだけに買った物」ではなく、「生活に必要な物」として自然に受け入れられるようになりました。
物を大切に使い切るという意味でも、ミニマリストの考え方にも合っています。
家族を守るという、新しい責任感
50代になって強く感じるのは、「家族を守りたい」という気持ちです。
若い頃は、自分のことで精一杯でした。でも今は、夫や子どもたち、そして年老いた両親のことを考えることが多くなりました。特に離れて暮らす家族のことを思うと、「せめて自分のことは自分で守れるようになっておかなければ」と強く思います。
災害時に家族に心配をかけないためにも、しっかりとした備えが必要です。「お母さんは大丈夫だから心配しなくていい」と言えるように。「一人でも数日は持ちこたえられる」と安心してもらえるように。
備えることは、愛する人たちへの思いやりでもあるのです。
実際に役立ったのが、🎒防災リュック。必要なものが一式入っていて、あわてず行動できました。[楽天で見る]物と向き合い続けてきた私たちだからこそ
物を手放す暮らしを選んだ私たちは、「物との付き合い方」について、誰よりも深く考えてきました。
何が本当に必要で、何が不要なのか。どうすれば無駄なく、効率的に暮らせるのか。そんなことを日々考え続けてきたからこそ、防災についても賢い選択ができるのではないでしょうか。
完璧な備えをする必要はありません。でも、「これだけあれば安心」という最低限のラインは、きっと見極められるはずです。
今日から始める、小さな一歩
備えは、一度に完璧にしようとする必要はありません。今日できることから、少しずつ始めればいいのです。
まずは水を少し多めに買い置きする。懐中電灯の電池をチェックする。家族の連絡先を確認する。そんな小さなことから始めて、徐々に安心できる環境を整えていけばいいのです。
大切なのは、「今日何もしない」のではなく、「今日できることを一つだけでもする」こと。そうして積み重ねていった安心が、未来の自分と家族を守ってくれるのです。
「備える」という行動は、実は“捨て活”と同じくらい心を整える効果があります。
👉 もう迷わない、“捨て活”の始め方|50代の私が気づいた“心を整える断捨離術”
備えることで得られる、本当の自由
最後に、私が防災の備えを通して得られた一番大きなものをお話しします。それは「自由」でした。
「もし何かあったらどうしよう」という不安から解放され、「大丈夫、備えはある」という安心感を得ることで、日々の生活をより自由に楽しめるようになったのです。
台風が来ても、地震のニュースを見ても、以前のような不安に駆られることが少なくなりました。それは、「その時はこうすればいい」という道筋が見えているからです。
物を持たない暮らしと、備えのある暮らし。この二つは決して矛盾するものではありません。本当に大切なものを見極める力があるからこそ、必要な備えを効率的に整えることができる。そして、その備えがあるからこそ、より自由で安心な日々を送ることができるのです。
私たち50代のミニマリストには、若い世代にはない強みがあります。経験と知恵、そして家族への深い愛情。これらを活かして、自分らしい備えを見つけていきませんか。
完璧を目指す必要はありません。でも、「今日できることから始める」その一歩が、未来の安心につながっていくのです。
あなたの大切な人たちのために。そして、何より自分自身の心の平安のために。今日から始める、小さくても確実な備えを。
🔦 私が“本当に備えてよかった”防災グッズ
50代の私が、「物を減らす暮らし」の中でも手放さなかった安心アイテムを紹介します。少なくても心強く。そんな備えを目指して選びました。
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あれこれ悩むより、まずはこれ一つ。あとは自分仕様にカスタマイズできます。
▶ 「持ちすぎず、足りなすぎず」。ミニマルでも安心できる備えを、あなたらしい形で整えてみてくださいね。
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