はじめに――5月は意外としんどい季節です
春の訪れとともに暖かい日差しが増え、街には新しい生活をスタートさせた人々の姿があふれます。
5月は、暦の上では「爽やかな初夏」。けれど、なぜか心も体も重く感じる…そんな経験はありませんか?
私は50代に入り、毎年5月が少し怖くなりました。朝から体がだるい、気分が沈む、やる気が出ない。周囲は明るくて元気に見えるのに、自分だけ取り残されたような気持ちになるのです。
この「5月の不調」、いわゆる**“5月病”**は、学生や新社会人だけのものではありません。特に50代女性は更年期とも重なり、5月の気候変動や生活の変化に大きな影響を受けやすいのです。
この記事では、そんな「5月の不調」について、原因やサイン、そしてセルフケア方法を、私自身の体験も交えながら詳しく解説します。
どこかひとつでも「わかる!」と感じていただけたら、そこからあなたの回復が始まります。
なぜ5月に不調が出やすいのか?
5月の不調には、いくつかの重なる原因があります。特に50代になると体力の回復力が落ちているため、「なんとなくだるい」が深刻になりやすいのです。
◆ ゴールデンウィーク明けの“気力の落差”
4月から新年度が始まり、気を張っていた人も多いはず。
そこに大型連休・ゴールデンウィークがやってきて、ホッと一息ついたとたん、体の疲れが一気に噴き出す。これが**「連休疲れ」**です。
また、「休みボケ」「気が緩んでしまった罪悪感」も、心をどっと重くします。50代女性は家庭や職場での役割が多いため、オンとオフの落差が大きいほど、不調として現れやすくなるのです。
◆ 気温と気圧の乱高下が、自律神経を乱す
5月は気候が安定しそうでいて、実は**「寒暖差」「気圧の変化」「湿度上昇」**という三重苦の時期。
朝晩と日中の寒暖差は10度以上になる日もあり、自律神経は乱れっぱなし。
気圧が下がると、血管が拡張しやすくなり、「頭痛」「肩こり」「めまい」が起きやすくなります。
また、自律神経の乱れは「眠れない」「疲れが取れない」「動悸がする」といった**不定愁訴(ふていしゅうそ)**につながります。
◆ 更年期症状との“ダブルパンチ”
50代女性の多くが直面する更年期。
これは卵巣機能が低下し、女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減ることで起きる自然な体の変化です。
普段から「ホットフラッシュ」「イライラ」「不安感」などを感じている方は、5月の気圧・気温の変化がその症状をさらに悪化させることがあります。
また、更年期は精神的な落ち込みや焦燥感にもつながるため、「自分だけがしんどい」「何をしてもうまくいかない」といった自己否定的な感情を抱きやすくなります。
50代女性に多い「5月の不調サイン」チェックリスト
では、実際にどんなサインが「5月の不調」として現れるのでしょうか?
以下のリストに、あなたはいくつ当てはまりますか?
✅ 5月に出やすい心と体のサイン(チェックリスト)
- 朝から体がだるく、何もしたくない
- 夜しっかり寝ても、疲れが抜けない
- 頭痛・肩こり・めまいなどが頻発する
- 気分が沈みがちで、落ち込む時間が増えた
- 胃腸の調子が悪く、食欲が乱れる
- イライラしたり、不安になりやすくなった
- 仕事や家事に集中できず、ミスが増える
- 人付き合いがしんどく感じる
- SNSを見ると、なぜか疲れる・劣等感が湧く
- 「自分だけがしんどい」と孤独を感じる
いくつか当てはまった方へ。
それは「怠け」でも「気合いが足りない」わけでもありません。
むしろ今は、自分をいたわるタイミング。“体と心からのSOS”に、そっと耳を傾けてあげてください。
実録・50代女性の「5月の不調」リアル体験記
ここで少し、私自身の体験をお話しします。
50代になったある年の5月、いつものように連休明けから通常モードに戻ろうとしたのですが、どうにも体が動かない。朝起きても頭がボーッとして、コーヒーを飲んでもシャキッとしない。
仕事もミスが増え、家族との会話にすらイライラしてしまい、「私、なにやってるんだろう」と涙が出てきました。
更年期のせいかな?と思いながらも、病院に行くほどでもなく、ただ毎日をこなすだけで精一杯。
とくに辛かったのが、「他人と比べてしまう」ことでした。
◆ SNS疲れが拍車をかけた
気分が晴れないからこそ、ついスマホを手に取ってしまう――そんな日々。
インスタグラムには楽しそうな旅行、料理上手な主婦…。
見れば見るほど、気分が落ち込み、「どうして私はこんなにダメなんだろう」と自己否定が強くなっていきました。
でもある日、友人とランチをしたとき、ぽろっと「最近、ずっとしんどくて…」と話したら、彼女が言ったんです。
「私も一緒よ。5月って、毎年つらいのよね」
この一言で、ふっと心が軽くなりました。「自分だけじゃないんだ」と思えたことで、回復の糸口が見え始めたのです。
不調を和らげるセルフケア10選【薬膳・生活習慣・心のケア】
不調に気づいたら、無理に元気を出すのではなく、“底上げ”するケアをしていきましょう。
ここでは、50代女性に効果的なセルフケア10選をお伝えします。
① 朝の白湯で内臓をやさしく目覚めさせる
自律神経を整える第一歩は、体温を安定させること。起き抜けに白湯を一杯飲むだけで、胃腸が温まり、体が目覚めやすくなります。
② 「血」を補う薬膳食材をとる
5月は“気”と“血”が消耗しやすい季節。
おすすめは【黒豆・クコの実・ほうれん草・レバー・なつめ】など。体のエネルギー源をしっかり補って。
食事から整える薬膳的セルフケアは、体調の波が出やすい50代女性にとって強い味方です。
特に「気」や「血」を補う食材を日常的に取り入れることで、5月の不調を和らげる効果が期待できます。
▶ 心も体もホッと温まる「温活薬膳スープセット」を試してみる
③ 湿気対策に「利水」食材を
湿気によるだるさには【はと麦・とうもろこしのひげ茶・冬瓜・小豆】などが◎。水の巡りをよくして重だるさを解消。
④ 朝5分のストレッチで自律神経を整える
朝の軽い体操は、交感神経をやさしく目覚めさせ、体内時計のリセットにもつながります。
体内時計を整えるためには、朝の過ごし方がカギ。起きてすぐに白湯やハーブティーを飲むだけでも、体の巡りが変わってきます。
▶ ゆるやかな朝のスタートに。「50代のためのフェムケアハーブティー」を取り入れてみる。
⑤ 「疲れたら休む」を最優先に
頑張りすぎは逆効果。昼寝や横になる時間も大切な自己調整。
⑥ 香りで心を癒す(アロマセラピー)
ラベンダー・ベルガモット・ゼラニウムなどは、更年期の不安感にもやさしく働きかけます。
⑦ 「やらないことリスト」を作る
5月は「ToDo」より「Not To Do」が大事。減らすこと=心の余裕です。
⑧ SNSを“時間制限”する
見る時間を1日30分に限定。フォローする人を見直し、自分が癒される投稿中心にしましょう。
SNSを見すぎて気持ちが疲れてしまう…そんな時は、スマホを手放して“自分だけの時間”をつくることも大切です。
▶ 香りの力でリセット。「自分に戻れるアロマ」でSNS疲れを癒してみませんか?
⑨ 一人時間を確保して心を整える
散歩・読書・カフェでのんびり…人と離れる時間が、心のバランスを取り戻します。
⑩ 「話せる人」を一人だけ持つ
プロでなくてOK。「つらい」と言える相手がいるだけで、回復力は倍になります。
SNSとの距離感を見直す
SNSは、良くも悪くも「自分と他人」を比較する場です。
特に体調が不安定な5月は、他人の“幸せそうな投稿”が、自分を責める材料になってしまうことも。
「みんな楽しそう」「私だけ取り残されたみたい」――その感情は、本来のあなたの姿ではありません。
◆ SNSを味方にする3つの習慣
「自分が発信者になる」
→ 小さな気づき・日常の風景を、誰かのために発信する側に回ると、不思議と前向きな気持ちが湧いてきます。
見ない日を作る(“デジタルデトックス”)
→ 思い切ってアプリをアンインストールしてみるのも手。1日見ないだけで、心が穏やかになることも。
「リアル重視」投稿をフォローする
→ 加工された世界ではなく、正直な言葉・自然な暮らしを発信する人を選びましょう。
仕事・家庭・自分時間のバランスの取り方
50代女性にとって、5月の不調は「ただの体調の波」ではなく、「これまでの頑張りすぎの蓄積」が表に出てくるサインでもあります。
仕事、家事、介護、パートナーとの関係、子どもの進路や独立…
周囲からの「期待」や「責任感」がプレッシャーになっている方も少なくありません。
◆ 「きちんとやらなきゃ」を手放す勇気
私たち50代は「がんばって当たり前」の世代です。
でも、体がSOSを出しているのに、まだ無理を続けたら、本当に倒れてしまうかもしれません。
まずは、自分にこう言ってみてください。
「できない日があってもいい」
「少しくらい、サボっても私は大丈夫」
完璧を目指すのではなく、“ほどほど”を認めることが、心の安定につながります。
5月病とうまく付き合うマインドセット
5月病は「一過性の不調」であることがほとんどです。
だからこそ、「どう乗り越えるか」よりも、「どう受け止めるか」が大切になります。
◆ 自分の“声”に耳を傾ける
体が重い、心がしんどい――それは怠けでも甘えでもありません。
自分自身からの大切なメッセージです。
「疲れてるんだね」
「がんばってきたんだね」
そうやって、自分をねぎらってあげるだけで、回復力は高まります。
◆ 小さな楽しみを見つける
たとえば、
- ベランダで風にあたる
- 新緑の中を散歩する
- 季節のハーブティーを淹れる
- 好きな音楽をかけてぼーっとする
そんな「ささやかな幸せ」を、毎日の中に散りばめることで、心の回復力はぐんと上がります。
5月の揺らぎを味方に変えていくために
「5月病」という言葉に敏感になる時期。
でも、それは決して“悪いこと”ではありません。
むしろ、この時期に立ち止まることで、心と体を見直す大きなチャンスになるのです。
50代という時期は、「人生の再設計」が求められるフェーズでもあります。
- 頑張るだけではなく、“ゆるめること”を覚える
- 他人と比べるより、“自分に合った心地よさ”を優先する
- 季節の変化を“味方”にして、無理なく過ごす知恵を身につける
そんなふうに、5月の揺らぎを“自己メンテナンス”のきっかけにできたら、これから先の毎年が、もっと優しくなるはずです。
おわりに
5月は、「なんだか調子が出ない」が日常に入り込む季節です。
でもそれは、怠けでも、気のせいでもなく、
自然の流れと共にある「からだとこころのバイオリズム」。
無理に元気を装わなくていい。
誰かのペースに合わせなくていい。
あなたは、あなたのままで大丈夫。
薬膳の考えでは、自然と調和しながら生きることが、もっとも健やかな生き方とされています。
だからこそ、5月のこの揺らぎも、あなたの人生にとって「必要な季節」なのかもしれません。
どうか自分を責めず、やさしく、ゆったりと。
この5月を、どうぞあなたらしく乗り切ってくださいね。
かこ

