【はじめに】お金が嫌いだった離婚直後の私へ
「お金の話なんて、品のない話題よね」そんなふうに心の奥で思っていたのは、離婚を決意したばかりの頃の私でした。でも今振り返ってみると、その考え方こそが私を苦しめていた根本的な原因だったのです。
離婚から3年が経った今、私はお金に対する見方が180度変わりました。お金のことを学び、正しく向き合うようになって、生活も心の状態も劇的に改善されました。「お金は単なる道具であり、上手につきあえば人生の選択肢を大幅に広げてくれる存在なんだ」と心から実感しています。
熟年離婚をきっかけに、お金への恐怖に押しつぶされそうになった私が、どうやってお金と向き合い、心と生活を立て直していったのか。そのリアルな体験を、同じように不安を抱えるあなたに向けて書きました。
離婚決意から生まれた「お金への恐怖心」
私が本格的に「お金嫌い」になったきっかけは、20年間続いた結婚生活に終止符を打つ決断をしたときでした。子どものこと、自分の人生設計、パートナーとの価値観の違いなど、様々な要因を総合的に考えた末の離婚決意でしたが、その決断と同時に私を襲ったのが、圧倒的な「経済的不安」だったのです。
専業主婦として家庭に専念していた期間が長かった私には、安定した収入源がありませんでした。家計管理も夫に任せきりで、自分名義の貯金もわずかしかない状態。社会との接点も希薄になっており、いざ働こうと思っても「これといったスキルがない」という現実に直面しました。
毎月の生活費を計算してみると、養育費や慰謝料を考慮しても、とても今までと同じ生活レベルを維持できるような状況ではありませんでした。電気代、ガス代、水道代といった基本的な光熱費から、食費、子どもの教育費まで、すべてが重くのしかかってきます。
「明日の食費をどうしよう」「来月の家賃は払えるのだろうか」「子どもに我慢させることばかりで申し訳ない」そんな不安が毎日のように頭をよぎり、いつしか私の中で「お金イコール不安の元凶」「お金イコール敵対する存在」という図式が出来上がってしまいました。
銀行の通帳を開くたびに心臓がバクバクし、ATMの前で手が震えることもありました。請求書が届く度に胃がキリキリと痛み、封筒を開けるのが怖くて仕方ありませんでした。お金のことを考えるのが嫌すぎて、いつの間にか現実から目をそらす「見て見ぬふり」の習慣が身についてしまったのです。
“お金嫌い”が招いた負のスパイラル
「お金が嫌い」「お金が怖い」という感情に支配されながら生活を続けていると、皮肉なことに、さらにお金に困る状況を自分で作り出してしまうことになります。これは私が実際に経験した、非常に辛い現実でした。
お金の管理を放棄してしまったため、無計画な支出が増えていきました。家計簿をつけることもせず、レシートも捨ててしまうので、何にどれくらい使っているのか全く把握できません。結果として、本当は節約できたはずの無駄遣いが日常茶飯事になりました。
現実逃避が癖になってしまい、請求書を開封せずに放置するようになりました。電気代の督促状が届いても見ないふりを続け、結果として延滞料金まで発生する始末。「どうにかしなければ」と頭では分かっていても、恐怖心が先に立って、具体的な行動を起こすことができませんでした。
さらに困ったことに、お金に対してネガティブな感情ばかりを抱えていると、「家計を改善するための知識を学ぼう」という前向きな気持ちも湧いてこなくなります。お金の勉強をしようと思っても、「どうせ私には無理」「難しすぎて理解できない」と最初から諦めてしまうのです。
「なんで私だけがこんなに苦しまなければならないの」「もっと経済力のある人と結婚していれば、こんな思いをしなくて済んだのに」といった、他人や過去への恨みつらみばかりが頭を占めるようになりました。でも、どんなに愚痴を言っても、涙を流しても、誰も代わりに問題を解決してくれるわけではありません。変わらない現実が、ただそこにあるだけでした。
離婚成立後の現実と直面した瞬間
離婚が正式に成立した日の夜のことは、今でも鮮明に覚えています。がらんとした新しい住まいに一人きりでいると、テーブルの上には養育費の取り決めに関する書類と、これからの生活費を試算したメモが置かれていました。数字を見つめていても、なんだか現実味がなくて、ぼんやりと天井を見上げながら時間が過ぎていきました。
それまでの私は、心のどこかで「お金のことは、なんとかなるものだ」と楽観的に考えていました。しかし、その夜初めて「もしかしたら、なんともならないかもしれない」という、背筋が凍るような危機感を抱いたのです。
翌日、恐る恐るATMで通帳記帳をしたとき、表示された残高を見て思わず「これでどうやって生活していけばいいの」と心の中で叫びました。見慣れない少ない数字に恐怖を感じ、ATMの前で体が固まってしまいました。周りに人がいることも忘れて、手元の通帳を握りしめたまま、その場に立ち尽くしていました。機械の案内音がむなしく響くだけで、私はただ、現実を受け止めることができずにいました。
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しかし、人間とは不思議なもので、「もう誰にも頼ることができない」と完全に追い詰められた状況になると、逆に「自分自身が変わるしかない」という強い決意が湧いてくるものです。恐怖心よりも、「この状況を絶対に乗り越えてみせる」「誰かを見返してやりたい」という闘志の方が強くなっていったのを覚えています。
運命の一冊との出会いが人生を変えた
そんな精神的に追い詰められた日々を過ごしていたある日、何気なく立ち寄った書店で、一冊の本が目に留まりました。それが本田健さんの著書『ユダヤ人大富豪の教え』でした。普段なら絶対に手に取らないような本でしたが、その日は不思議と引き寄せられるように手に取っていました。
ページをめくっていくと、こんな一文に出会いました。「お金を嫌っている人のところに、お金は寄ってこない」この言葉を読んだ瞬間、体に電気が走ったような衝撃を受けました。まるで私の心の奥底を見透かされたような気持ちになり、しばらくその場で立ちすくんでしまいました。
「そうか、私はお金が嫌いだと言いながら、本当はずっと、お金に愛されたかったんだ」そんな気づきが心の中に芽生えました。お金を敵視していた自分が、実は一番お金を求めていたという矛盾に気づいたのです。
この本を読み進めていくうちに、お金に対する考え方や向き合い方について、今まで知らなかった様々な視点があることを学びました。お金は決して悪いものではなく、正しく理解し、適切に付き合えば、人生をより豊かにしてくれる存在だということが少しずつ理解できるようになりました。
この一冊との出会いをきっかけに、私は「お金との関係性を根本的に見直そう」と決心しました。これまでの逃げの姿勢を改め、正面からお金と向き合う覚悟を決めたのです。
家計管理から始まった小さな変化
お金との「仲直り」への第一歩として、私が最初に取り組んだのは「家計簿アプリを導入して、毎日のお金の出入りをきちんと記録する」ことでした。これまで避け続けてきた家計管理に、ついに本格的に取り組む決意を固めたのです。
でも、「これを変えなきゃ、何も変わらない」と自分に言い聞かせて、なんとか続けました。しかし、毎日少しずつでも記録を続けているうちに、徐々に慣れてきました。そして何より重要だったのは、「自分が何にお金を使っているのか」が明確に見えるようになったことです。
家計簿をつけ始めて2週間ほど経った頃、意外な発見がありました。「無駄だと思っていた支出が、実はそれほど多くない」「本当に無駄なのは、把握していない小さな支出の積み重ねだった」ということが分かったのです。
次に取り組んだのが、「収入を増やすための具体的な行動」でした。とはいえ、いきなり大きなことはできませんから、自宅でできる小さなことから始めました。インターネットのアンケートモニターに登録したり、使わなくなった衣類や雑貨をフリマアプリで販売したりと、本当に小さなことからのスタートでした。
金額としては月に数千円程度でしたが、自分の力で稼いだお金を手にしたときの喜びは格別でした。「私でも、お金を稼ぐことができるんだ」という自信が少しずつ芽生えてきました。この小さな成功体験が、その後の大きな変化への原動力となったのです。
自宅でできる小さな収入源として、私が実際に使っていたのは、まずマクロミルのアンケートモニターです。スマホやパソコンで簡単に回答できて、ポイントが現金やギフト券に交換できるので、ちょっとした空き時間を有効に使えました。もうひとつはメルカリ。着なくなった服や使わなくなった雑貨などを出品して、家の中もスッキリするし、お小遣いにもなる一石二鳥の方法でした。どちらも最初のハードルは低く、「お金を自分の手で動かせた」という小さな成功体験をくれました。知識を得ることで広がった新しい世界
収入を増やす小さな成功体験を得た私は、次に「お金に関する正しい知識を身につけよう」と決意しました。これまで避けてきたお金の勉強に、本格的に取り組み始めたのです。
最初はインターネットで「家計管理のコツ」「節約術」「初心者向け投資」などのキーワードで検索することから始めました。分からない用語があれば、さらに詳しく調べ、理解できるまで読み込みました。図書館に通って、家計管理や投資に関する本も積極的に借りて読むようになりました。
すると、これまで「難しくて理解できない」と思い込んでいたお金の世界が、実は思っていたほど複雑でもなく、むしろ「知れば知るほど面白い」分野だということが分かってきました。お金に関する基本的な仕組みや、効果的な貯蓄方法、リスクを抑えた投資方法など、学べば学ぶほど新しい発見がありました。
特に印象的だったのは、「複利」というのは、元本だけでなく増えた利子にも利子がつく仕組み。雪だるまのようにお金が増えるイメージです。少額でも継続的に積み立てていけば、時間をかけることで大きな資産を築くことができるという仕組みを知ったとき、「これなら私でもできるかもしれない」と希望を感じました。
また、節約についても、単純に「我慢すること」ではなく、「本当に価値のあるものにお金を使い、そうでないものは見直す」という考え方があることを学びました。この考え方を実践することで、生活の質を下げることなく、むしろ向上させながら支出を最適化できるようになりました。
お金に対する意識が少しずつ変わってきた頃、老後への備えとしてつみたてNISAや家計の見直しについて学び直すようになりました。実際にやってみて、「もっと早く知っておきたかった」と感じたことも多くあります。▶︎ 50代女性のお金の整え方|老後の不安を減らす家計見直し術とつみたてNISAの始め方
お金が味方になった現在の充実した生活
お金との向き合い方を変えてから3年が経った今、私の生活は劇的に変わりました。お金の話をすることが「恥ずかしい」なんて思わなくなり、むしろ積極的に口にするようになりました。「家計管理は得意分野の一つです」と堂々と言えるまでになりました。
収入面では、まだ大企業の正社員のような高収入を得ているわけではありませんが、自分でコントロールできているという「実感」があることで、毎日の安心感が全く違います。支出と収入のバランスを把握し、計画的に貯蓄を増やしていけるようになったのです。
お金を「恐怖の対象」ではなく「人生を豊かにするための道具」として捉えられるようになったことで、無理な節約でストレスを溜めることなく、効率的に家計管理ができるようになりました。また、将来に向けた具体的な目標を立て、それに向かって計画的にお金を貯めることもできるようになりました。
現在は「老後の生活に困らないように」という長期的な視点で、毎月少額ながら投資信託の積み立てを行っています。過去の私なら「投資なんて怖くて絶対にできない」と拒絶反応を示していたはずですが、今では「適切な知識があれば、投資は資産形成の有効な手段の一つ」として冷静に捉えています。
知識を得ることで世界が変わり、正面から向き合うことで未来が変わりました。お金との関係が改善されたことで、人生全体に対する不安が大幅に減り、逆に希望や可能性を感じられるようになったのです。
同じような境遇の方へのメッセージ
熟年離婚を経験し、お金への不安に押しつぶされそうになっている方、お金が嫌いで仕方がない方に、心からお伝えしたいことがあります。お金は決してあなたを傷つける存在ではありません。正しく理解し、適切に付き合えば、必ず味方になってくれる存在です。
重要なのは、これまでの「向き合い方」をほんの少し変えることだけです。最初は怖くて当然ですし、小さな一歩でも全く構いません。私がそうだったように、少しずつでも継続していけば、必ず状況は改善していきます。
お金との関係改善に「遅すぎる」ということはありません。50代、60代から始めても、十分に人生を変えることができます。大切なのは、今この瞬間に「変わろう」と決意することです。
📚 お金との関係を整えるために、私が読んでよかった本と暮らしに役立ったアイテム
お金の不安を少しでも軽くしたいとき、知識や暮らしの整え方が大きな力になります。どれか一つでも、あなたのヒントになれば嬉しいです。
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楽天ROOMで見るまとめ:お金を味方につけて新しい人生を歩もう
お金との向き合い方は、間違いなく「人生の質」に直結します。お金を味方につけることができれば、心にも時間にも余裕が生まれ、毎日を不安ではなく希望とともに過ごすことができるようになります。
この記事が、あなたの「お金との仲直り」のきっかけになれば、心から嬉しく思います。どうか、自分の人生を取り戻す一歩を、今日から始めてみてください。
もし今、何から始めればいいか分からない方は、まずは「家計簿アプリをダウンロードして、今日使ったお金を記録する」という小さな一歩から始めてみてください。その一歩が、きっとあなたの人生を変える大きな転機となることでしょう。
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