「これ、わたしに似合ってる?」──アラフィフの“スタイル迷子”から抜け出すとき
鏡の前でふと立ち止まった朝。
「これ、まだ着てもいいのかな…?」
「なんだか似合わなくなってきた気がする」
そんなふうに思うこと、ありませんか?
私は50代に入ってから、ファッションに対してどこか自信が持てなくなりました。
若い頃のように“これが着たい!”という気持ちよりも、“これはもう無理かも…”という気持ちのほうが先にくるようになったのです。
SNSや雑誌を見れば、キラキラしたファッションに身を包んだ素敵な人たちがたくさんいて。
でも、自分に置き換えてみると「それって実際、着こなせる?」「外で浮かない?」「周りの目が気になる…」
そんなモヤモヤがぐるぐると心の中に広がっていきました。
50代。
それは、“似合う”や“心地よい”の感覚が、大きく変わっていく時期でもあります。
今回は、そんなアラフィフ世代の女性に向けて──
「自分らしいスタイルって、どう見つければいいの?」
という問いに、私自身の体験を重ねながら、答えていきたいと思います。
似合う服がわからなくなったのは、あなたのせいじゃない
昔は何を着ても、それなりにしっくりきていた。
トレンドに合わせて服を選び、髪型を変えてみるのも楽しかった。
けれど、アラフィフになってから、突然「何を着たらいいのかわからない」状態に陥ってしまった。
クローゼットにはたくさん服があるのに、どれを着てもどこか違和感がある。
そんなことが、私にも何度もありました。
これは決して、あなたのセンスが落ちたからでも、おしゃれに興味がなくなったからでもありません。
単純に、“体”と“心”が変化しているだけ。
✔ 肌や髪の質感が変わる
✔ 体型がゆるやかに変化していく
✔ 日常生活で求める機能性が変わる
✔ 心地よさを大切にしたくなる
こういった“変化”が重なることで、それまで似合っていた服が、しっくりこなくなるのは当然のことなんです。
特に、肌の色や質感が変わると、「色選び」や「素材の肌触り」がこれまでとはまったく違って感じられるようになります。
例えば、以前はパキッとしたビビッドカラーが映えていたのに、今はナチュラルカラーの方がしっくりくる…。
これもよくある変化です。
だからこそ、まずは「変わった自分を責めない」ことが何よりも大切だと私は思っています。
いまのわたしに似合うものを、ここからもう一度、ゆっくり探していけばいい。
ファッションは、“取り戻すもの”ではなく、“これから築いていけるもの”なのです。
誰かの「正解」じゃなく、自分の「好き」を信じてみる
雑誌で紹介される「50代の正解ファッション」や、SNSで見かける「若見えコーデ」
たしかに参考になるけれど、どこか息苦しく感じたことはありませんか?
「年相応に見えるように」「若作りに見えないように」「きちんとして見えるように」
──気づけば、「自分がどうしたいか」よりも「どう見られたいか」が優先されていた。
私もかつては、「これが正解なんだろうな」と思って、
雑誌に載っていた通りのコーデを真似してみたり、
“同年代のキレイな人”が着ていた服を買ってみたり。
でも、着てみると……なんだか落ち着かない。
鏡の中の自分に、「これが本当にわたし?」と問いかけてしまう。
その違和感の正体は、「自分らしさ」が置き去りになっていたからなんだと思います。
おしゃれって、本来は「自分の内側とつながる行為」じゃないでしょうか。
着たときに気持ちが上がる。
鏡を見たときに、ふふっと笑顔になれる。
街を歩いていて、ふとガラスに映る自分に「いい感じ」と思える。
そういう、小さな“ときめき”の積み重ねなんです。
だからこそ、自分の中の「好き」「心地よい」「ちょっと気分が上がる」を、もう一度信じてみること。
それが、アラフィフからのファッションにおいて、一番大切なスタートラインなのだと思います。
服が多いのに着るものがない? それ、心のモヤモヤかも
クローゼットにはぎっしりと服が並んでいるのに、
「今日、何を着よう…」「あれ?これじゃない気がする…」
そんなふうに、何度も着ては脱いで、また戻して──気がつけば時間ばかりが過ぎている。
そんな経験、ありませんか?
実はこれ、洋服の量の問題ではなく、心の状態が反映されているのかもしれません。
私は以前、何かに追われるように洋服を買っていた時期がありました。
「これを着ていけば、ちゃんとして見えるかな」
「職場で浮かないかな」「老けて見えないようにしなきゃ」
そんな“他人目線”ばかりで選んでいた服たちは、気づけば一度も袖を通していないまま、クローゼットの奥に押し込まれていたのです。
でも、50代になって、自分の中でふっと“変化”が起こりました。
「もう、無理するのやめよう」
「着ていて苦しい服、もうやめていいよね」
そう思えた瞬間、少しずつ心が軽くなっていきました。
洋服は、ただの布ではなくて、自分をどう扱っているかの表れ。
心がモヤモヤしているときほど、似合うものがわからなくなるし、何を着てもピンとこなくなってしまうのです。
だからこそ、ファッションに迷ったときは、無理に買い足すのではなく、
まずは**「いまの自分が心地よく着られる服」を3着だけでもいいから見つけてあげること**。
そうやって“心から着たいと思える服”を一つひとつ丁寧に選ぶことが、スタイルを取り戻す第一歩になるのだと、私は実感しています。
「引き算」で整えるクローゼットのすすめ
「たくさん持っているのに、着たい服がない」
それって、実は“足し算”の罠にはまっている状態かもしれません。
50代のファッションには、「引き算の美しさ」がとても大切だと私は思います。
若い頃は、色も柄も重ねて、アクセサリーもバッグもたくさん使って、
“盛る”ことが楽しかった。
でも今は、「着ていてラク」「肌になじむ」「動きやすい」──
そうした“そぎ落とした美しさ”に惹かれるようになってきました。
私はある日、思いきってクローゼットを“半分”に減らしました。
似合わなくなった服、見るたびにため息が出る服、いつか痩せたら…と取っておいた服。
それらをすべて手放して、「今の自分にとって心地いいかどうか」だけを基準に残してみたのです。
すると、不思議なことに――
朝の支度が、驚くほどスムーズに。
何を着ても「これでいい」と思える自信がついて、鏡を見るのが少し楽しみになりました。
「たくさん持っていれば安心」という感覚から、「選び抜いた少数精鋭の服だけで十分」という感覚へのシフト。
これは、50代になったからこそできる、大人の“整え方”なのかもしれません。
そして何より、「クローゼットを整える」という行動は、自分自身を丁寧に扱うという行為にもつながります。
クローゼットを整えるという行動は、ただの片づけではありません。
「手放すこと」で、心まで軽くなる感覚を味わった方も多いのではないでしょうか。
👉 そんな“物を減らして見えた心の変化”については、こちらの記事でも詳しく書いています。
▶ 断捨離で人生が変わる?物を減らすことで見えてきた、心と暮らしの豊かさ
着心地のいい服だけで暮らしてみたら
アラフィフになってから、私は“着心地”という言葉の意味を、ようやく実感できるようになりました。
以前は、「見た目が良ければ多少きつくても我慢」なんてことも当たり前。
けれど今は──
・締めつけの強いパンツより、ウエストゴムのリネンパンツ
・汗をかいてもベタつかない、コットン100%のカットソー
・ふわっと羽織れる軽いカーディガン
そんな“体がよろこぶ服”を選ぶようになりました。
着心地のいい服って、本当にすごいんです。
自分でも気づかないうちに、心の余裕を作ってくれるんです。
身体がラクで、肌に優しくて、季節を心地よく過ごせる服。
それは、自分に対して「大事にしているよ」と伝える、目に見えないメッセージでもあるのだと思います。
もちろん、トレンドを追いかけなくてもいい。
「ラク=だらしない」とも思いません。
むしろ、着心地を大切にしたスタイルこそ、50代の女性が一番輝けるファッションなのではないでしょうか。
今は、リラックスして過ごせるおしゃれ着も豊富です。
部屋でも外でも着られるワンピースや、通気性のいいナチュラル素材の服は、心にも体にもやさしい選択肢。
一日を気分よく過ごせる“味方”になってくれる、そんな服たちを、これからはもっと大切にしていきたい。
それが、私の「50代からのおしゃれ」の軸になっています。
おしゃれは「誰に見せるか」じゃなく「自分を喜ばせるもの」
若い頃は、おしゃれ=「人からどう見えるか」を意識することが多かったように思います。
「かわいいって言われたい」
「職場でちゃんとして見えるように」
「浮かないように、場に合わせなきゃ」
そんな“外の目線”で、服を選んでいた自分が確かにいました。
でも、50代になった今。
自分の時間も、自分の人生も、だんだん“人のものじゃなくなる”感覚があります。
✔ 他人に合わせることが減ってきた
✔ 人からどう思われるかより、自分がどう感じるかが大切になってきた
✔ 誰かに評価されるより、自分がご機嫌でいられることの方が大事
それに気づいてから、私のおしゃれはガラッと変わりました。
たとえば、
・「誰にも会わない日でも、お気に入りの服を着てみる」
・「鏡に映った自分に『今日もいい感じだね』と声をかけてみる」
・「着ていて落ち着く服を、旅先にも持っていく」
──そんなふうに、「誰に見せるか」よりも「自分が嬉しくなるか」を基準にするようになったのです。
「人の目を気にせず、自分をご機嫌にする」。
この考え方に切り替えられたことで、私は日常の過ごし方まで変わってきました。
👉 自分を優先する暮らし方については、こちらの記事にも綴っています。
▶ 誰かのためじゃなく、自分のために|無理しない毎日のつくり方
おしゃれって、本当は自分の“心をあたためるもの”。
朝、「今日はこれを着よう」と思えるだけで、その日がちょっと特別に思えたり。
服ひとつで、自分のご機嫌をとれるって、実はすごく心強いことなんです。
🧺 ゆったり着られる、50代にやさしいワンピース
リネン風素材のナチュラルワンピースは、シンプルなのに着映えする一枚。
体のラインを拾わず、暑い季節も快適に過ごせます。
自分らしさは、“これまで”の中にちゃんとある
「自分らしいスタイルってなんだろう」
この問いに、長いこと私は答えが出せずにいました。
でもある日、昔の写真を見返していて、ふと気づいたんです。
「あ、わたし、この頃からこういう色が好きだったんだ」
「自然素材が好きなのは、ずっと変わってなかったんだな」
そう、自分らしさって、どこかにある新しいものじゃなくて、“今までの自分の中”にちゃんとあるんです。
たとえば──
・何度も買いなおしている定番の服
・人からよく褒められる色やシルエット
・自然と手が伸びる素材や質感
それらをじっくり見直していくと、「これが私の軸だったんだ」と腑に落ちる瞬間があります。
つまり、今さら無理して“変わる”必要なんてない。
むしろ、「ずっと変わらずに好きだったもの」に目を向けてみる。
それが、これからの“自分らしさ”を形作っていくヒントになるのだと思います。
自分をよく知ること。
それは、50代だからこそできる「大人のスタイル探し」なのかもしれません。
50代のスタイルは「これから」もっと自由になる
ファッションに正解はありません。
とくに、年齢を重ねるほどに、“自由さ”は増していきます。
誰かと同じである必要も、若く見せようとする必要も、
「年相応」におさまる必要も、実はもうないのです。
50代だからこそ、
・ラクで、心地よくて、
・気持ちが晴れて、
・自分の気分が上がるもの
そんな“自分だけのスタイル”を、誰にも遠慮せずに選べる。
それって、とても贅沢なことですよね。
そして何より、「私はこういうのが好き」と堂々と言えるようになった今の自分が、
ちょっとだけ誇らしく感じられる瞬間も、増えてきました。
おしゃれは、誰のためでもない、自分を大切にするための小さな手段。
服一枚に、自分を肯定する力が宿っていることに気づいたとき──
ファッションは、ただの見た目ではなく、人生の中にある小さな“希望”のようなものになるのです。
…そんな服たちを、これからはもっと大切にしていきたい。
それが、私の「50代からのおしゃれ」の軸になっています。
おわりに:今のわたしに似合うスタイルは、“心が軽くなる”もの
おしゃれに迷い始めたとき、それは“自分との関係を見直すチャンス”でもあります。
✔ 似合わなくなった服があるのは、変化を受け入れている証拠
✔ 「どう見られたいか」よりも、「どうありたいか」が大切になる
✔ 自分らしさは、新しく探すものじゃなく、今までの中にある
✔ 着心地のいい服は、自分をいたわる“味方”になる
✔ 引き算で整えることで、本当に必要なものが見えてくる
アラフィフからのファッションは、
何かを“足す”ことよりも、何かを“見つける”ことに近いのかもしれません。
それは、肩の力を抜いて、心地よさに正直になること。
そして、「今日のわたし、ちょっと好きかも」と思える瞬間を、ひとつひとつ重ねていくこと。
あなたのスタイルは、あなたにしか見つけられません。
そしてそのスタイルは、きっと──
今のあなたを、一番素敵に輝かせてくれるものになるはずです。
